車に乗ると人が変わってしまうことについて [事故防止]
○前の車が発進でグズグズしていると、クラクションを鳴らす。
○前の車が遅いと言って、車間を詰め煽り立てる。
○信号待ちで並んだ車は、競争状態になる。
○抜かされそうになると、ムッとして加速する。
○怒りの発散としての急加速、急激な転回
○後続車への妨害として、急ブレーキ。
○狭い道でも猛スピード。
○合流地点でも、意地でも譲らない。
○相手の車をかすめるように、無理やり割り込む。
まるで、万人による万人の戦いの様相を呈していますね。
いわゆる『路上の激怒』といわれているものです。
あの人は『車に乗ると人が変わる』とよく言われますが、車の特性と人の行動との間には、何か特別の関係があるようです。
普段はおとなしい人が車に乗ると、人が変わったように荒っぽくなって所構わず攻撃性を露わにする。
かと思うと日頃から周りに迷惑を掛けながら全然気にしない人が、車に乗ってもいつもの通りに振る舞ってしまうなど。
また当然の事ですが、いつも慎重な行動を取る人が車に乗ると、やはり慎重な運転をする例も 沢山あります。
ですから、必ずしも車を運転する事で性格が変わってしまう人ばかりではありませんが、少なからぬ人たちが冷静さを失っている状況はあると思います。
ではどうしてこのような交通状況で、いろいろ問題が起こるのでしょうか?
今回は交通心理学の成果をご紹介してみたいと思います。
○匿名性 お互いに相手を知らないので、チョットくらい迷惑をかけても大丈夫。〔知っている同士なら、こんな事はしませんね。〕
○密室性 車内は閉じられた私的空間であり、自分の部屋にいるように退行が起こりやすい。いわゆる子供のように自分が優先だという気持ちになりやすい。
○自由度が増す 自分の効力感が満たされる。生きがい、独立感を味わえる、権威への反抗に使うことも。
○能力の拡大 人間としての能力を超えるマシン、ウルトラマン症候群、敢えて危険をすり抜ける満足感、〔車のパワーを自分のパワーだと感じる〕
○競争的 交通社会はお互い協力的になりにくい。仲間へ見せつけるなど。
○法規依存 事故や揉め事があると、法律を盾にとって、自分が正しいと主張。
これらのものは、交通社会における車同士の関わり方をよく説明していると思います。
ただしこれだけでは現実の状況をうまく説明し切れませんので、次の要因も必要だと思います。
一つは運転しているときの精神状態の安定度〔急ぎ、焦り、イライラなど〕。
もう一つはストレスを周りから受けたときのフラストレーショントレランス〔我慢の限界点〕が何処にあるかということ、
さらにもう一つは、このような状況を、その人がどのように受け止めるか〔攻撃か間違ったのか〕、にもかかっていると思われます。
このような状況で、ストレスによるエネルギーが容易に発散されやすいようです。
ちょっとしたことで怒りを感じ、行動してしまう。
これを変えていかなければ、とても走りにくい世の中になってしまうと思うのですが。
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