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相手の規制はこじ開けるが、自分は拘束されないアメリカ [tppはメリットがあるのか]

廣宮孝信氏のブログに、TPPについて重要な指摘があるので要点だけ紹介したいと思います。

詳しくは、こちらへ!

米国は他国との貿易協定を履行する際、国内で実施法を定めています。

それによると、アメリカは米韓FTAにとどまらず、NAFTA(北米自由貿易協定)以降、世界貿易機関(WTO)協定も含め、締結したすべての貿易協定に実施法があり、いずれも『合衆国法の優越』を同じ条文で定めています。

ところが米韓FTAの韓国は、というと、国際条約が既存の国内法に優先する規定になっています。(ウィーンの条約法条約では、国際条約が各国の国内法より優先することを決めているため、大半の国では条約が優先する。日本も同様)

つまり、韓国側のみが国内法を改正して米韓FTAに合わせる義務を負い、米国は国内法と矛盾する場合には国内法を優先し、FTAの義務を負わないことになります。そんなことが許されるのか、不平等ではないのか?と言っても締結してからでは、もう遅いのですね。

同様の懸念は、今問題としているTPPにもあります。

米韓FTA実施法102条a項1は、『合衆国のいかなる法に反する協定のいかなる条項も、またそうしたいかなる条項のいかなる人または状況への適用も、効力を有しない』と規定。

同法102条b項1は、米国のどの州法も、協定に反するという理由で無効とされることはないとしています。

つまり、合衆国法も州法もFTAより上位にあって、国内法が優越することになります。

ここからが重要です。TPPで考えるとアメリカの場合は、米国国内法 TPP協定

一方日本の場合は、TPP協定 日本国内法  ですから、

米国内法規 TPP協定 日本国内法規  となります。

これを言い換えると

米国国民 TPP協定 日本国民  ということにもなるでしょう。

さらに、TPPを推進しているのは多国籍企業なので、

多国籍企業 米国国民  > TPP協定  > 日本国民  となるわけです。

何かのジョークではないのか!

いいえ、今のままTPPに参加すればそうなる訳です。

以上、廣宮孝信氏ブログから紹介しました。

 ☆官僚主導で首相官邸、マスコミまで誘導している?

関岡英之氏の報告から(so-tv闘論、倒論、討論3月16日、文責は筆者)

昨年の衆議院選挙で自民党が出した政権公約『J-ファイル2012』TPPについて

1 政府が、『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加に反対する

2 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。

3 国民皆保険制度を守る。

4 食の安全安心の基準を守る。

5 国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。

6 政府調達、金融サービス等は、我が国の特性を踏まえる。

1は関税に関するもの、他の5項目は全て非完全障壁に関するもので、自民党もTPPは単に関税撤廃だけではなくて非関税障壁、つまり規制緩和とか構造改革の継続版だと、これが日本の国益にもしかしたらマイナスになるかも知れない、という問題意識があるから、この6項目を公約に掲げたわけですね。

それで2月7日に自民党の森山裕先生が座長をやっている、『TPP参加即時撤回を求める会』という議員連盟ですね。その集会を傍聴させて頂いたんですよ。

その時の最大の争点は、政府の側がこの6項目を日本政府の基本方針だということを認めるかどうか、ということだった。その場には外務省の審議官と経済産業省の審議官が来ているんです。TPPを推進する側の役人の代表が来ていて、

自民党の国会議員たちがその二人に対して、猛烈に迫るわけですね。自民党はこの6項目を公約に掲げて政権復帰を果たした。つまりこれが民意なんだから、これが政府の方針でなければおかしい、と。この6項目はセットである、と。

何故か新聞の報道を見ていると、1項目、関税の問題だけが独り歩きしていて、そこさえもし、クリアされれば、つまりアメリカの側が聖域を認めれば、もう自民党は反対する理由がなくなって、交渉参加の段階に突き進むのはおかしい、と。

反対派の自民党議員たちが、盛んに役人たちに詰め寄るわけです。で、これを認めるか、6項目セットを認めるか、というと、役人が絶対認めないわけですね。のらりくらり答弁をして、質問をされると、『聖域なき関税撤廃』を前提とする限り交渉参加に反対です、というのが政府の方針でございます、と。

同じ答えを執拗に繰り返すわけです。自民党の反対議員たちは当然激昂して、さらに詰め寄りますよね。そうすると役人たちがひそひそ相談して、『聖域なき関税撤廃』を前提とする限り等の問題です、と言って、残りの5項目を、等という一文字に、からめ取って、乗り切ろうとするわけですね。

あれは非常に異常な光景に見えました。役人が与党の国会議員の要求に従わない、徹底的にそこで抵抗しているんですね。それがまず驚きだったんですけれども、

翌日の新聞を見てみたら、まったくその場で起きたことと違う報道になっているんですよ。たくさんのメディアが取材に来て、オープンの会でした。私のような部外者まで傍聴できたわけですからね。

そこで新聞を開けてみると、『反対派の自民党議員たちは、この一番目の項目を確認した』と、いう話になっていて、5項目の話なんかほとんど出てないんですね。つまり、マスコミはその場にいて、百も承知でありながら、まったく違う報道をして、国民に誤った情報を流している、というのを現場で目の当たりにしたんです。

これは一体何なんだろうな。つまり、マスコミは明らかに役人と結託している。これは役人の方針なんですよ。5項目については触れたがらない、質問されても答えない、絶対に認めない、というのは役人が突っ張っているんです。それに関してマスコミが100%同調して、これは保守の産経から左翼の朝日まですべて同じなんですね。

 


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tppなお残る疑念 [tppはメリットがあるのか]

安倍首相のTPP交渉参加宣言が行われた。

安倍支持派の多くの論客がTPP参加反対に回っているなかで、『ラストチャンス』として積極的に交渉参加を言明したことは、大きな違和感を覚えた。

安倍政権には引き続き支持を表明するが、TPPはあまりにも筋が悪いため反対である。

先の衆議院選挙で自民党の出した6原則は守るというが、交渉であるからには当然、妥協・譲歩を迫られる場面が出てくるだろう

しかもここにきて、次のことが明らかとなっている。

〇TPPの日米事前協議で、アメリカが輸入車にかけている関税を当面(10年間)据え置く方向で最終調整していることが分かった。米自動車業界が日本にシェアを奪われることに反対しているが、農産物を抱える日本がそれに配慮したもの。

〇既存の9か国に加えて、昨年11月、カナダとメキシコが交渉参加表明したが、『交渉を打ち切る権利は9か国だけにある』、『9か国が合意した項目は再交渉できない』という念書に署名している。

〇TPP交渉は3月、6月、9月に開催され、本年末には妥結の予定。TPP交渉参加には各国の承認が必要。アメリカ議会の承認手続きには90日間必要なため、日本が3月に交渉参加表明をしても、9月の一回のみしか参加できない。

ということは参加した以上、日本にとって不利であることが分かっても途中で交渉から離脱できない、今までの合意事項はすべて受け入れなければならない、たった1回だけの参加で、猛烈な交渉をしなければならない、ということになる。

そのようなことは初めから無理な話。。既に16回の交渉で大方のものは議題となり、合意に至ったもののあるのではないか。手足を縛られた状態で、しかも日米構造協議で百戦全敗した日本の交渉官が、何かを持ち帰ってくると考える方がどうかしている。

さらに、日本の対米輸出で主力となる自動車への関税が撤廃されないなら、日本のメリットはどこにあるのだろうか。農作物で壊滅して、自動車でも共倒れの可能性が出てきた。

政権が民主党から自民党へ交代したのに、相変わらずTPPが前面に出てくるのは、官僚主導でこの問題が進められていることが分かる。

どうも、国民が内容を知らされないまま、アメリカ政府と日本の省庁(外務省、経産省)、国内の一部業界の圧力で、一気に押し通されたように思えてならない。

この間、TVや新聞では農業と自動車の関税問題ばかりが報じられ、これさえ解決したら参加することに問題ないかのようだった。

メディアは、不利益を被るのが農業作物だけであるかのように喧伝している。農業に従事しない大多数の一般国民には関係ありませんよ。皆さんにはこれから安い消費財が沢山流れ込んできて、生活も楽になるし、TPPが成長をもたらしてくれますよ、と。

本当にそうだろうか。TPPで交渉の対象となるものは、あらゆる分野に及んでいる。

米国の交渉担当はUSTR(通商代表部)だが、その後ろには多くの多国籍企業が控えている。オバマ政権のTPP圧力は、アメリカを代表するグローバル企業によるロビー活動の結果である。

TPP交渉には、米国民の代表である上下両院議員はアクセスできないが、600名もの企業顧問はアクセスしているというのだ。一体誰によってTPPの草案が作成されているのか。

驚くべきことに、米側交渉官と企業顧問がTPP会議のホテルで打ち合わせを行っているという。アメリカにおける各業界の要望が、そのまま反映される仕組みとなっている。

ここで明らかになった内容は、企業利益の極大化という目的のために相手国政府の環境規制、安全規制を緩和させ、企業活動にとって邪魔となるものを徹底して潰していくものだということ。

シンガポールの第16回TPP交渉会議で、米交渉官が他国の交渉官に述べた内容(抜粋)。

日本は、カナダとメキシコがTPP参加に際して強いられた条件と同内容を合意している。つまり、事前に交渉テキストを見ることもできなければ、既に確定した項目について、いかなる修正や文言の変更も認められない。新たな提案もできない。

さらに、日本の参加表明がなされた後、参加各国は、日本との二国間協議を7月までに完了させるように、との指示も行った。つまり日本は、7月の会合には参加できず、9月の交渉会合まで、TPP交渉のテーブルにつくことはできない。

9月の交渉会合は、TPP交渉国の首脳が10月のAPECにおいて、TPP交渉完了のサインをする1か月前だ。

しかも9月の会合は米国開催で議長国も米国である。そのため、異論や再交渉の要求があっても押さえつけることが可能だ。  (シンガポールでの交渉報告 内田聖子氏から要約)

安倍政権は強い交渉力で臨むという。しかし上記の内容から見れば、日本はただ座って見ていろ、決まったことはすべて受け入れろ、参加できるだけありがたいと思え、という高飛車な態度がありありではないか。

入れ、入れと、猛烈な圧力をかけてきたのに、いざ交渉に参加しようとすると、今度は条件を付けるな、と言ってくる。

TPP参加を支持した皆さん! このようなものに参加するメリットがありますか?


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TPPは成長戦略となり得るか [tppはメリットがあるのか]

 TPPに交渉参加するかしないかが言われているが、この問題は日本がアメリカのような国になるかどうかということだと筆者は考えている。それは

国内は一握りの大金持ちと、圧倒的多数の低所得者に分かれ、富の不均衡が顕著になる。

会社は株主のために利益を出すことが優先され、福利厚生など他のものはカット。会社は従業員のものではなくなる。

会社の人間関係は、現在ある外資系企業のように疎遠で合理的になる。業績だけが評価され、賃金カットやリストラも容易。

かつて世界で称賛された日本的経営システムが、完全に姿を消す。

輸出に関わる企業や競争力のあるグローバル企業にとって、利益は大きいこと。その反面で大半の国民には何も利益はないこと。

国際間の価格競争に勝ち残るためには、人件費の高い日本より少しでも安くなるアジアの方が有利。そのため今以上に製造業は海外の現地生産へシフト。日本では製造業の空洞化が起こり、失業率が高くなり、賃金も下がっていく。

これらの結果、安い商品が市場に溢れ、消費者物価を押し下げるために巡り巡って国民の賃金も下がり、供給過剰のデフレとなって跳ね帰ってくる。

私たちは安倍内閣誕生で『経済成長』という束の間の夢を見たが、もはやここまで。毎年GDPはどんどん減少していくことになる。

『アジアの成長』を取り込む、というが、取り込むためには海外へ資本移転して現地生産しなければならず、その企業は儲かったにしても、大半の日本国民には関係がないどころかその分、雇用が無くなることを意味する。

TPPで関税を撤廃しなければ、米韓FTAを結んでいる韓国に自動車と家電で対抗できないという。しかしアベノミクスにより円高が解消され、これら業界が息を吹き返していることを考えれば、過剰な円高が国際競争力を阻害していたという方が正しいだろう。

韓国は現在、日本の円安攻勢に相当困窮しており、アベノミクスは近隣窮乏化政策だと猛烈に批判している。

『TPPは安全保障上の中国包囲網』だと日本のメディアが騒いでいる。しかしオバマ大統領もアメリカ政府もそのようなことを一切言明していない。勝手なミスリードである。

TPPはあくまでアメリカの世界戦略であり、米国内の財政問題や雇用政策を背景にしたものであり、日本の市場を狙い撃ちしたものである。日本からさらに富を分捕っていくということである。

日本がTPPに加入したら、日米の軍事同盟はさらに強固になる、というのは何の根拠もない。もしそうなら米当局者から言質を取って来なくてはならない。

むしろ日本がTPPに参加した後、アメリカは中国をもTPPに引き込むのではないか、と筆者は考えている。

日本がTPPに加入するメリットは、ほとんどないに等しい。

政府はTPP参加について、トータルで3兆円のGDP押し上げ効果があるというが、農水省は8.4兆円の損失という試算を出している。根拠がバラバラでよく分からない数字である。

どの国とどのような協定を結ぶかという時に、まず考慮すべきことは自国の利益ではないだろうか。TPPがグローバルスタンダードだというごまかしに騙されてはいけない。

☆西田昌司参議院議員ビデオレターから抜粋 (文責は筆者) so-tv3月1日

 TPPは百害あって一利なし。そもそも自由貿易協定、これはTPP以外にもいろいろあるんですけれども、これは本質的に日本のような先進工業国にとっては、あまりプラス面は少ないんだという共通の認識を持っておかなきゃならないということです。

意外に思われるかも知れませんけれども、日本は自由貿易でどんどん国富をためてきたと思われているんですけれども、確かに自由貿易は大事なことなんです。しかしこれから先、市場がどんどん、アジアの国というような、日本と比べて所得の低い、かつ人口の多い国に市場が移っていくんですね。

その時起きてくることを、予め想定しておかなければならないということなんです。まず皆さん方におさらいとして、日本がどの国と取引してきたかというと、アメリカや西ヨーロッパ等先進工業国に、TVや車を売って経済力を高めてきた訳です。

しかしこの仕組みは20年以上前に、ある程度形が変わってきてしまっているんです。プラザ合意が1985年にありましたが、この時に決められたこと、もう30年近く前になるんですね。

これは日本が工業製品で圧倒的優位に立って、西側諸国にどんどん売ってくる。アメリカなどでは自動車メーカーが潰れる、TVを作る家電メーカがなくなってしまうところまで追い込まれたんですね。

そこでプラザ合意で、ドル安円高を容認するという協定が発表されたわけです。同時に円高になることによって、日本から輸出が出来難くなりますから、日本が売りたいのならアメリカに来て売ってくれと。またヨーロッパで作って売ってくれと、こういう話になったんです。

つまり、先進国に行って現地生産で車を作る、それから家電を作るということになったんですね。ですから今、アメリカで走っている車、ホンダなどは8割、9割方がメイドインUSAだといわれていますが、もう、ほとんどが日本車でありながらメイドインUSAなんです。

家電製品もしかりです。つまり、このことから分かりますのは、西側の先進国に対して、売る時には現地で作らなければいけない、ということになってきたということです。

そして今問題となっているTPPをはじめとする、アジアの成長を取り入れるとおっしゃっていますけれども、これらの国々においてでも、日本より所得が低い国ばかりですね。所得の低い国に日本の高度な高製品、しかも人件費の高い日本の生産力で作ったものは売れないわけですよ。

ですからアジアの国で売る場合には、アジアの国に合った商品を、アジアで作って売らないと売れないわけです。そしてそちらの方にはものすごく大きな、西側諸国以上に大きな人口が、そこに存在する。これから、物が売れるのはこちらだというのが分かる訳ですね。

しかし売ろうと思えば、日本で物を作ったんじゃなくて、向こうで作るものでなければならない。ですからこれから大きくなる市場も、また現地生産になるんです。ですからTPPであろうが、自由貿易協定、どんどんやればやるだけ、結局は日本にあった雇用が、製造拠点が海外に移転されてものを作ることになるということです。

もちろん、海外でものを作るといっても、主要部品は日本で作って、それを向こうに送って組み立てをすることもありますから、その分は当然輸出が増えたりします。そういう意味では、日本に全くプラスにならないという訳ではありません。

ありませんけれども、みなさんが一般的に思うほどの、プラスはないんですね。企業の利益は増えてきますけれども、雇用が向こうに置き換わってきますから、国民の所得が、給料が下がってくる。

企業の所得と国民の所得の合計がGDPですから、これが大きくならないというのはこういう理由からなんです。そういうことから自由貿易協定というのは本来、企業側にとってプラスであっても、国民の利益になるとは限らないことを、まず頭に置いておかなければならないということです。

そのうえでTPPはかなりの関税の開放度があるんです。一応、聖域があるとなったにしても、日本が今まで結んできた自由貿易協定では、85%くらいの開放をしてますけれども、あと15%くらいのタリフライン、関税率をたくさんの品目を作って守ってきている訳です。

ところが聖域があるといっても、アメリカが今までやってきた自由貿易圏は90%から100%近い、広い分野の関税が・・になる訳ですから、これはですね、農業製品には莫大な損害を与える、影響を与えることは想像に難くないんですね。

ですから農業生産者の方が反対と言われるのは当然なんです。且つ、この日本の中でプラスになるのは、一部のそういうグローバル企業が製造拠点を向こうに持つことによって、大きくなることはありますけれども、民間の方々にはほとんど所得還元されませんから、

結局は、TPPのような非常に高い水準の自由化をやってしまうと、マイナスの方が際立って大きくなる。だから百害あって一利なしになるんだということなんですね。このことをしっかり踏まえてアメリカと交渉しなければならない。

もちろん、安倍総理は分かっておられるはずなんです。しかし、それを国民世論的に分からないまま、TPPに入るべきだという声が、大手のマスコミなど、メディアで喧伝されますから、訳の分からないまま、6割以上の方がTPP賛成だと言っておられる訳です。

ですからチャンネル桜、CSやインターネットなどで正しい情報を持って、分かっている人がたくさん増えて、そのことによってTPPの判断が変わらなければならないですね。

 


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TPPとは何なのか [tppはメリットがあるのか]

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の議論がまた盛んになってきた。

オバマ政権は、日本のTPP参加受け入れに柔軟な姿勢を見せてきた。中国が世界経済を席巻し、軍事的恫喝を繰り返して膨張するのをけん制するためだという。

米国産牛肉の輸入制限緩和など前提条件を求めず、さらに農作物の関税撤廃も、経過措置を含めて実際の交渉で協議するとして、前提条件にはしない方針。

今がチャンスとばかりに推進派は活気づいている。米韓FTAを締結した韓国企業とは、関税がある分競争において不利になるとか、経済のグローバル化は世界の潮流であり、乗り遅れると日本は取り残されるなど。

TPPに参加することで日本企業の業績が上向きになり、農業も競争力を持つことが出来るなら誰も反対はしないだろう。しかし、そこに何らかの思惑が働いているのだとしたらどうだろうか。

〇推進派の論調

産経新聞正論1月6日、大田 弘子 政策研究大学院大学副学長(詳しくは記事を参照してほしい)

『日本経済の閉塞感が強まりつつある。それは・・・・・先々の展望が開けない事による。・・・・・韓国などアジア諸国は勢いよく変化しているのに、日本は取り残されている。

・・・・・なぜ変わることが出来ないのか。一言でいえば、変化を拒む力が強すぎるからだ。・・・・・スェーデンは高福祉の国として知られるが、高福祉を支えるために経済のグローバル化を全面的に受け入れ、そのための構造変化を正面から受け止めている。

・・・・グローバル化が必要だと分かっていても、農業団体が反対すると、FTAを結べない。保育サービスの拡充が必要だと分かっていても、保育園や幼稚園が反対すると両施設の統合が進められない。

・・・・民主党なら既得権を打ち破ってくれるだろう、と。しかし今までのところ、既得権はほとんど崩れていない。・・・・・しかし、「変われない日本」は必ずや衰退する。

・・・・この状況をどこから打破していけばいいか。私は、「グローバル経済に生きる覚悟」を決め、そのためにTPPへの交渉参加を一刻も早く表明することこそ突破口だと思う。

・・・・すでに相当遅れてしまったグローバル化への取り組みを挽回する絶好のチャンスであり、逆に参加できなかったときの代償はきわめて大きい。

今年は、TPPを突破口にして「変わることのできる日本」になろう。成長産業を生み出し、新たな雇用の場を作るための変化を起こそう。・・・・・・いまならまだ間に合う。

_ 

下線を引いたところだけを改めて読んでほしい。まるで訪問販売のセールストークに聞こえてこないだろうか。或いはクラスの中で一人ぼっちになっている生徒に言い聞かせている先生の発言だとしたら。

孤立する、置いて行かれる、取り残される、今なら間に合う、という言葉に日本人は感情的に反応してしまう。そこをわざと突いてきているのではないか。

農業団体が反対するのはけしからんというが、既得権を守ろうとすることの何処が悪いのだろうか。彼らには彼らの生活があるのではないか。

グローバル化がバラ色の未来を約束してくれるのかどうかは、上のアジ演説とは別に考えなければならないだろう。

〇富岡幸一郎氏の解説によると

so-tv1月7日報道ワイドweekendの解説から(文責は筆者) 

大田氏の記事には、TPPをやるべきだとして、日本経済の困難を打開するためには積極策が必要であるとか、スェーデンを見習えとか、いろんなこと言っているが、TPPに関しては最後の一段くらいでグローバル経済を生きる覚悟を決めるためにTPPをやれと言っている。

つまりTPPの中身、何故こういう形でTPPが出てきたのか、TPPとは一体何であるのか、そしてTPPに参加すればどういう理由で日本経済が活性化するのか、というようなことがまったく論じられていない。

むしろ東谷さんのTPPはちょっと待て、という方が現実をとらえている。TPPにはアジアでは小さな国が入っている訳で、むしろこれはアメリカの輸出を伸ばしたいということで、オバマ大統領が5年間で輸出を倍増したいと言っており、その一つの大きな突破口としてTPPを考えている。

そしてアメリカの輸出、農産物等を大きく輸入できる国は日本しかない。関税が無くなってアメリカへの輸出が増えるというよりは、アメリカは為替相場でドル安に誘導してきますから、日本の輸出は存外伸びない、アメリカの農産物が大量に日本を席巻していく、それが構造的な日米間の食料の構造になる。

日本は農業の立て直しを言っているが、実は恒常的にアメリカに農産物を依存する構造になります。そういう意味でTPPというのは、日本国内の農業問題というより、むしろ対アメリカの問題、

つまりアメリカが日本の市場を開放しろとずっと言ってきた85年プラザ合意、80年代後半の日米構造協議、そして92年の年次改革要望書、それによって郵政民営化がなされ、郵貯と簡保の巨大な金が流れ出たという、アメリカの一貫した日本市場開放政策、

この流れの中にTPPは位置付けられているといえる。

この意味では、TPPによって国を開くというのは良いイメージがありますが、じつは、開国することが亡国につながる恐れもある。

東谷さんの記事によれば、TPPの対象になるのは、実は農業だけではないという。

アメリカはWTOにおいてもサービスの貿易に関する一般協定(GATS)に力を入れて金融、医療、法律といった分野のサービスの輸出を熱心に追求してきた。それは米国が締結してきたFTAや地域協定を見ても明らかだという。

つまり日本の市場が完全にアメリカに席巻されていくということ。拙速にTPPに参加すれば農業だけではなく金融、医療、法律などのサービスに、意に反して輸入増加せざるを得なくなるのではないか、ということです。

TPPはアメリカの中・長期的な戦略である。

(東谷 暁氏はジャーナリスト:産経正論1月5日)

〇グローバル化は日本にとって本当に利益になるのか

グローバリゼーションというのは、日本人にとって抗えない潮流で、必ず実行しなければならない課題のようにいわれているが、実はアメリカや欧州にとって都合のよい方便として使っているにすぎない。

自国にとって価格的に有利で、国益に適う限りにおいてのみ、グローバリゼーションの旗を掲げ、相手国の関税を撤廃させようとしている。EUはアメリカの遺伝子組み換え穀物を輸入していない。

日本の農業を開放して生き残れるのは、ほんの一握りの大規模経営だけであろう。関東などの平野部はまだ可能性はあるが、日本の国土の大半である山林に作られた棚田は大規模経営に向かず、もともと生産性に乏しい。

これらの棚田が治山治水に役立っていることも忘れてはならないだろう。間伐がなされない山林の土砂崩れなど、崩落現象が後を絶たない現実をどう考えるのだろうか。

さらに、日本人の食糧を他国に依存するようになってしまえばどうなるのか。いつまでも安い価格で手に入るとは限らない。日本の農業が壊滅した後に訪れるのは、穀物メジャーによる価格コントロールではないのか。

新年早々、小麦と大豆の価格高騰を伝えるニュースが入っている。中国など新興国の旺盛な需要に加え、米国の大規模金融緩和で膨らんだ投機マネーが商品市場に流れ込んでいるためだという。

穀物は投機の対象にもなっているだけに、今後を的確に見据えた分析が必要だと思うがどうだろうか。


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