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tppなお残る疑念 [tppはメリットがあるのか]

安倍首相のTPP交渉参加宣言が行われた。

安倍支持派の多くの論客がTPP参加反対に回っているなかで、『ラストチャンス』として積極的に交渉参加を言明したことは、大きな違和感を覚えた。

安倍政権には引き続き支持を表明するが、TPPはあまりにも筋が悪いため反対である。

先の衆議院選挙で自民党の出した6原則は守るというが、交渉であるからには当然、妥協・譲歩を迫られる場面が出てくるだろう

しかもここにきて、次のことが明らかとなっている。

〇TPPの日米事前協議で、アメリカが輸入車にかけている関税を当面(10年間)据え置く方向で最終調整していることが分かった。米自動車業界が日本にシェアを奪われることに反対しているが、農産物を抱える日本がそれに配慮したもの。

〇既存の9か国に加えて、昨年11月、カナダとメキシコが交渉参加表明したが、『交渉を打ち切る権利は9か国だけにある』、『9か国が合意した項目は再交渉できない』という念書に署名している。

〇TPP交渉は3月、6月、9月に開催され、本年末には妥結の予定。TPP交渉参加には各国の承認が必要。アメリカ議会の承認手続きには90日間必要なため、日本が3月に交渉参加表明をしても、9月の一回のみしか参加できない。

ということは参加した以上、日本にとって不利であることが分かっても途中で交渉から離脱できない、今までの合意事項はすべて受け入れなければならない、たった1回だけの参加で、猛烈な交渉をしなければならない、ということになる。

そのようなことは初めから無理な話。。既に16回の交渉で大方のものは議題となり、合意に至ったもののあるのではないか。手足を縛られた状態で、しかも日米構造協議で百戦全敗した日本の交渉官が、何かを持ち帰ってくると考える方がどうかしている。

さらに、日本の対米輸出で主力となる自動車への関税が撤廃されないなら、日本のメリットはどこにあるのだろうか。農作物で壊滅して、自動車でも共倒れの可能性が出てきた。

政権が民主党から自民党へ交代したのに、相変わらずTPPが前面に出てくるのは、官僚主導でこの問題が進められていることが分かる。

どうも、国民が内容を知らされないまま、アメリカ政府と日本の省庁(外務省、経産省)、国内の一部業界の圧力で、一気に押し通されたように思えてならない。

この間、TVや新聞では農業と自動車の関税問題ばかりが報じられ、これさえ解決したら参加することに問題ないかのようだった。

メディアは、不利益を被るのが農業作物だけであるかのように喧伝している。農業に従事しない大多数の一般国民には関係ありませんよ。皆さんにはこれから安い消費財が沢山流れ込んできて、生活も楽になるし、TPPが成長をもたらしてくれますよ、と。

本当にそうだろうか。TPPで交渉の対象となるものは、あらゆる分野に及んでいる。

米国の交渉担当はUSTR(通商代表部)だが、その後ろには多くの多国籍企業が控えている。オバマ政権のTPP圧力は、アメリカを代表するグローバル企業によるロビー活動の結果である。

TPP交渉には、米国民の代表である上下両院議員はアクセスできないが、600名もの企業顧問はアクセスしているというのだ。一体誰によってTPPの草案が作成されているのか。

驚くべきことに、米側交渉官と企業顧問がTPP会議のホテルで打ち合わせを行っているという。アメリカにおける各業界の要望が、そのまま反映される仕組みとなっている。

ここで明らかになった内容は、企業利益の極大化という目的のために相手国政府の環境規制、安全規制を緩和させ、企業活動にとって邪魔となるものを徹底して潰していくものだということ。

シンガポールの第16回TPP交渉会議で、米交渉官が他国の交渉官に述べた内容(抜粋)。

日本は、カナダとメキシコがTPP参加に際して強いられた条件と同内容を合意している。つまり、事前に交渉テキストを見ることもできなければ、既に確定した項目について、いかなる修正や文言の変更も認められない。新たな提案もできない。

さらに、日本の参加表明がなされた後、参加各国は、日本との二国間協議を7月までに完了させるように、との指示も行った。つまり日本は、7月の会合には参加できず、9月の交渉会合まで、TPP交渉のテーブルにつくことはできない。

9月の交渉会合は、TPP交渉国の首脳が10月のAPECにおいて、TPP交渉完了のサインをする1か月前だ。

しかも9月の会合は米国開催で議長国も米国である。そのため、異論や再交渉の要求があっても押さえつけることが可能だ。  (シンガポールでの交渉報告 内田聖子氏から要約)

安倍政権は強い交渉力で臨むという。しかし上記の内容から見れば、日本はただ座って見ていろ、決まったことはすべて受け入れろ、参加できるだけありがたいと思え、という高飛車な態度がありありではないか。

入れ、入れと、猛烈な圧力をかけてきたのに、いざ交渉に参加しようとすると、今度は条件を付けるな、と言ってくる。

TPP参加を支持した皆さん! このようなものに参加するメリットがありますか?


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