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チベット展開催中 [この国と仲良くならなくてはいけないのか]

上野の森美術館で、『聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝』展が開催されています。 

チベット密教の魅力を余すところなく伝えてくれるそうで、 世界文化遺産のポタラ宮と

各寺院からなる珠玉の123件の展示内容は、仏像、経文、民族衣装、楽器、絵画など。

 

 

ところで

日本という国は、人命や人権という価値観に関して 、大いに尊重してきた歴史があると思います。

日本人である私たちも、生きとし生けるものや草花や森、海の自然やサンゴなどには命があり

そこにある生態系はそのまま維持しておきたいという思いがあり

踏みつぶしてしまうことに抵抗を感じ、動物の殺傷をすることに対しても憤りを覚える、というように

命あるものへの尊崇の念を、常に抱きながら生きている民族であると思います。

 

それは、歴史的に血で血を洗うような闘争を好まず、人間の持つ残虐性を忌み嫌い

和をもって貴しとする処から来ているのであって、お互い腹を割って話し合うことによって分かり合える、

言葉にしなくとも相手の気持ちを推察できる、以心伝心、

最近ではKY(危険予知ではない)でいうところの空気という表現自体、何とも日本人的であると思います。

 

これらは単に近代になって、人権の価値観が西洋から伝わったためではなくて、

もともと日本人の歴史の中から育まれたものであるということです。

儒教思想の影響だという人もいますが、必ずしもそれだけはなく、同じ儒教圏の韓国人と日本人は違っていると思います。

 

そのことが、日本人の精神性を形作ってきたことを考える時、外国人からはユニークだと

思われている中に、我々はそういう民族なのだ、という存在証明のようなものを感じるのです。

 

もちろん、それだから嫌だという人の主張は理解できます。

外国の人にはなかなか理解してもらえないでしょうし、

集団や組織の中で個が埋没してしまいやすい社会でもあり、

皆と違うという理由だけで誰かを排斥するような面もあるのですから。

皆と同じでないと不安を感じてしまうとか、集団への同調圧力がいまだに高いという負の側面もあります。

私自身がこれらのものが気に食わなくて、出る杭になって反発して来たこともありますから、あまり大きな声では言えないのですが。

 

しかし、好きであろうと、嫌いであろうと、にかかわりなく『日本人とは何か』について考えてみることは必要であると思います。

やはり自然を愛し、命を尊重し、和を大切にする瑞穂の国の民なのだ、というのが私の実感です。

ただし、鳩山某が言う、友愛などとは全く違うものだと、考えております。

 

 

さて、ここにもう一つの国があります。正確には、ありました。

歴史的に独自の文化と宗教(ラマ教)を持ち、遊牧民である彼らは自らの文化に対して

高いプライドを持っている。

言語も文字も独自のもので、自然崇拝、アニミズム的な信仰は日本人に近い。

高僧の生まれ変わりであり、活仏であるダライラマを法王に戴き、非常に信心深く、

聖地ラサを目指した巡礼では五体投地、マニ車などが有名。

 

1950年、共産革命を成し遂げた中国共産党は、革命の高まりの中で、

遅れたチベットを文明の道に引き入れようとして、1950年に武力進攻。

 

朝鮮戦争が世界の注目を集めている隙に、毛沢東は、国際政治の力の空白地帯である

チベットへ10万の軍隊を差し向け、17条協定を無理やり締結させてラサを制圧した。

チベット人は自分たちの伝統や文化が尊重されないとして、中国共産党の集団主義化体制に反発した。

1957年チベット高原東部で暴動が勃発し、1959年3月、ラサに飛び火してダライラマの亡命につながっていく。

 

僧侶に対してダライラマの写真の上を跨がせたり、公衆の面前でダライラマに対する

批判を言わせたり、という屈辱的な扱い、経済的な不満、長年の共産党統治に対する反発などが

背景となって、度重なる抗議と決起、共産党による武力弾圧を繰り返してきた。

 

この間の犠牲者は120万人。1,200,000というチベット人たちが、

中国共産党によって殺害され、拷問を受け、或いは餓死させられている。

それはチベット人口の5分の1になる。

また、チベットの寺院6000か所をことごとく破壊、寺院から仏像や宝物を略奪。

完全な破壊を免れたのは8か所。

 

 

中国共産党によるチベット人の虐待、拷問の様子

僧のあるものは腕をたたき切られ、「仏陀に腕を返してもらえ」と嘲笑された。大勢のチベット人は手足を切断され、首を切り落とされ、焼かれ、熱湯を浴びせられ、馬や車で引きずり殺されていった。

アムドでは高僧たちが散々殴打されて穴に放り込まれ、村人はその上に小便をかけるよう命じられた。さらに高僧たちは、「霊力で穴から飛び上がって見せろ」と中共兵に嘲られ、挙句に全員射殺された。

脅える子どもたちの目の前で、両親は頭をぶち抜かれ、大勢の少年少女が家から追われて、中共の学校や孤児院に強制収容されていった。

 

ダライラマ法王が難民からの報告をもとにまとめたもの

『彼らは銃殺されたばかりではなく、死ぬまで鞭打たれたり、はりつけにされたり、生きながら焼かれた。溺死させられたり、生きたまま解剖されたり、餓死させられたものもあった。

絞め殺されたり、首をつって殺されたり、熱湯による火傷で殺された。また、あるものは生き埋めにされたり、はらわたを取り除かれたり、首を切られたりして殺された。

こうした殺人行為はいずれも公衆の面前でなされた。村人たちはそれを見物するように強制された。自分の家族のものが強制されて見ているその前で、ゆっくりと殺されていったのである。

さらに小さな子どもたちはその両親を射殺するように強制された。』

 

現在、チベットは中国の国内植民地として、西蔵(青海)鉄道によって大量の軍隊を送り出し

弾圧をする一方、森林を伐採し鉱物資源、水資源を略奪し、漢人が利益を独占する傍らで、

今なおチベット人は抑圧され、二級市民に追いやられている。

 

1989年中国の天安門事件の3か月前、チベットのラサで戒厳令が敷かれ、徹底的にデモを鎮圧した。

この時のチベット自治区総書記が胡錦濤で、このときの功績が鄧小平に認められて、党中央に取り上げられた。

21世紀の現在、世界中の国家指導者の中でも、これだけの虐殺をおこなった人物は他にいない。

 

このような現実を前にする時、我々は脅威を覚えずにはいられないだろう。

すぐ隣の国で、これだけの虐殺が行われている。

 

先日、オバマ大統領は中国国家主席、胡錦濤との会談に際し、チベット、ウイグルなど

民族問題や国内の民主化への言及を避けた。

日本の民主党政府も、チベット、ウイグル問題は、内政問題だとして不干渉の方針だ。

 

 

我々は日本人として、この問題を黙って見過ごしていいのだろうか。

日本企業は安価な労働力を求めて中国に生産設備を移転、

今や上場企業の8割以上は、中国ビジネスにかかわっている、という。

彼らは現地政府を怒らせてはいけない、という配慮から、中国に関するネガティブな情報を操作しようとする。

彼らがスポンサーを引き受けているTVなどのマスメディアでは、当然、報道される頻度が減ってくる。

NHKなどは国民がスポンサーなのに、CCTV(中国中央電視台)の日本支局のごとく偏った情報を垂れ流している。ウイグル族が暴動を起こして漢族を襲撃したと。

多くの日本国民は知らされない状態に置かれ、北京五輪や上海万博、

近代的な都市空間を見せられ、この国に人権や世論があるかのように思い、

やがて来るであろう、中国人との交流を夢見てしまう。

このような人たちが、反中国デモやチベット、ウイグル民主化運動を見て、

何て過激な連中なのか、と思うかも知れない。

 

チベット人であるラクパ・ツォコ氏は、『日本の行動はアジア全体に影響がある。大きな存在だ。日本の今の豊かさ、これを永遠に保証されているなら気楽でいられる。見ざる、言わざる、聞かざるで。

でも50年前の日本、今の日本、50年後の日本を考えると、すべては変化に基いている。そうすると辛い時は人に助けを求めることは自然ですね。良い時は人に手を差し伸べる、これはモラルです。』

 

同じアジアにある日本に、大きな期待が持たれている。

 

 

 

 

 

上野の森美術館で

 

『聖地チベット 天空の至宝』展の展示許可を出したという文化庁へ質問しました。
以下、その内容です。


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ご担当者様


秋たけなわの候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

上野の森美術館で、現在開催されております、『聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝』について、質問いたします。

この展示物は、中国共産党軍が1950年、チベットに対して軍事進攻し、チベット人120万人を虐殺した上、チベット国内の寺院から略奪した仏像、及び文化財ではないのでしょうか。

しかも展示説明文には、中国政府の一方的なプロパガンダばかりで、肝心のチベット人の主張は一切ないと思われるのですが、このことは展示の客観性に欠けると思われます。

これは中国政府による盗品を展示したものであり、チベット寺院から奪い取ったものは、チベット寺院に返却しなくてはならない事は、言うまでもありません。
なお、チベットでは現在も人権弾圧と殺害が続けられている事は、メディア報道によって明らかです。

そこで質問です。

① このような、現在も進行中の非常に政治的色彩の強い展示に、文化庁が使用許可を出した理由は何でしょうか。

② チベット人による『チベットに自由を!展』が行われた場合、文化庁は使用許可を出しますか。

③ 今回の「聖地チベット展」に文化庁が後援とありました。後援とは、催しについて後ろ盾を行う場合や人的物的援助を行う場合と理解していますが、もしかすると、国民の税金が使われているのでしょうか。どのような後援なのか教えてください。

以上ご回答よろしくお願い申し上げます。

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その後2週間経っても回答がないため、
直接電話を入れたところ、文化財部 美術学芸課の
 〇〇氏からメールにて、回答を戴くことができました。




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前 略

この度は当庁ホームページの文化芸術振興目安箱へご投書を頂き、
ありがとうございます。
ご質問について、以下の通り回答させていただきます。

質問①~③

(答)
後援名義については、平成21年6月22日付けで主催者より使用許可申請が出され、
当庁が定める「文化庁名義等取扱要領」に即して審査を行ったところ、
主催者及び事業内容における許可基準に該当したため、
平成21年8月21日付けで後援を決定し、通知いたしました。


平成21年10月27日 
文化庁 文化財部 美術学芸課
美術館・歴史博物館室

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何ともガックリくるような回答でした。
ある程度予測していた回答内容ですが、
このような文章なら10分もあれば作れるでしょう。

もうすこし何か言えないのか、と怒りが沸いてきますが

これが日本という国の対応なのです。

 

 


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