朝日社説に反対! [雑感]
11月23日、朝日新聞に、『外国人選挙権 まちづくりをともに担う』という社説が出ている。
_
永住外国人に地方参政権を付与しようという主張だが、ピックアップすると
① 98年以降、民主党や公明党が法案を出してきたが、・・・・進まなかった。この間に地域の 国際化は急速に進んでいる。鳩山政権は「多文化共生社会」を目指すという。実現へ踏み出す時ではないか。
② 地域社会に根付き、良き隣人として暮らす外国人に、よりよいまちづくりのための責任を 分かち合ってもらう。そのために地方選挙への参加を認めるのは妥当な考え方だろう。
③ 地方選挙権についても最高裁は95年、立法措置をとることを憲法は禁じていないとの判断を示している。
④ 世界を見ても、一定の要件を満たした外国人に参政権を付与する国は、欧州諸国や韓国など40あまりに上る。
⑤ (反対論に対して)人々の不安をあおり、排外的な空気を助長する主張には首をかしげる。外国籍住民を「害を与えうる存在」とみなして孤立させ、疎外する方が危うい。
という5点になると思う。
_
これだけ見ても、素晴らしい理念で溢れており、世界のすう勢として実現していかなくては、と思いたくなるが、ちょっと待ってほしい。
本当に外国人参政権を実現してしまって良いのかどうか、改めて考えてみたい。
_
_
① 98年以降、民主党や公明党が法案を出してきたが、・・・・進まなかった。この間に地域の 国際化は急速に進んでいる。鳩山政権は「多文化共生社会」を目指すという。実現へ踏み出す時ではないか。地域の国際化と外国人の参政権とはどういう関連があるのだろうか。
国際化=参政権という言い方では説得力がない。国際化したら、永住
外国人に参政権を与えなくてはならないとすると、憲法で言う国民主権
がどこに行ってしまうのだろうか。参政権は国民に固有の権利であり、
選挙は唯一の主権を行使する機会だ。外国人にも与えるというのは、
その主権を制限することになり、認められない。
_
多文化共生社会を目指すというが、その多文化とはどういう社会なの
か、また外国人とどのような共生を目指すのかを明らかにしていない。
歴史的経緯から、外国人労働者や移民を抱え込んでしまった多くの国
では、その『多文化』のあり方を巡って対立と反発を繰り返しているので
ある。
_
複数の文化の出会いは、常に文化の繁栄に帰着するという保証はな
く、主に生きる社会空間の規制の方法をめぐって衝突も起こりうる。
西欧やオーストラリア、アメリカなどでは、外国人を受け入れて数十年が
経過し、すでに無視できない、大きな人口を占めるようになったため、
同化の問題が生じた。どうすれば共生できるのかを巡って、
同化政策やリベラル多元主義、コーポレイト多元主義などの政策が
出てきているのである。
_
EUでは外国人比率が、フランス、ドイツ、ベネルクス諸国で6~10%。
諸外国で行われている政策には、一方的にホスト社会に外国人を同化
させようというものから、アファーマティブアクション(積極的差別是正措
置)やクォータ制度を設けて優遇するなど、幅広く行われている。場合に
よっては外国人が集中する地域の分離、独立まで容認せよ、という議
論も起こっている(EUの場合)。
_
将来、外国人が集中して居住する日本の中の1地域が、日本から分離、独立させよという、合法的な決議をすることもできるのだ。
2008年末の外国人永住者91万2361人
うち特別永住者42万0305人(在日韓国・朝鮮籍、等)
一般永住者の増加率は中国が1位で、引き続き増加中、
法務省登録中国人は85万人で、 世界では5000万人に達するという。
永住権を目指して、今後大きな勢力になるとともに、
日本にとって脅威となるだろう。
_
_
② 地域社会に根付き、良き隣人として暮らす外国人に、よりよいまちづくりのための責任を 分かち合ってもらう。そのために地方選挙への参加を認めるのは妥当な考え方だろう。
隣人と共存することと、参政権がセットになっている、これは別の問題である。
良き隣人として暮らす外国人、というのは勝手な決め付けではないか。
外国人犯罪数を見ても韓国・朝鮮人、中国人、ブラジル人、
フィリピン人が、犯罪率が極端に高いのである。
今後ますます増加すれば、地域住民にとって脅威となるだろう。
_
まちづくりは、日本人である我々が、外国人にとって住みよい社会を
形成できるよう、心して努力していけば良いのではないか。
_
各地方議会において、外国人待遇改善についての公聴会を開き、
または外国人問題委員会を設置し、さまざまな問題を外国人が提出、
地域住民との利害調整をした上で議会を通じて改善していけば良いことだ。
_
日本の制度を通り越して、いきなり参政権の話に持っていくのは無茶苦茶である。
あまりにも不用意な理想論では、これからどのような状況が生まれてい
くのかが見えてこないだろう。
③ 地方選挙権についても最高裁は95年、立法措置をとることを憲法は禁じていないとの判断を示している。
これについては、判決の本論ではなく、効力を有しない傍論の中で示されたもの。
「外国人に地方参政権が与えられないのは憲法違反ではないのか」という提訴に対して、「憲法違反ではない」という判決が出されている。
しかしその後で、提訴にないこと(立法措置を禁止しない)をわざわざ判断しているため、傍論となり、効力を有しないだけでなく、本論と著しく矛盾した内容となっている。
即ち、本論では『選挙権は権利の性質上日本国民のみを対象とし、地方選挙でいう「住民」も日本国民のことであり、外国人に及ばない』とする本論と、
『立法措置をとることを禁止しない(外国人にも参政権を)』では、明らかに矛盾していると言わねばならない。
したがって、傍論の部分は意味をなさず、外国人に地方参政権を与えることは許されない。
何度同じ裁判をやっても、同じ結果が出るだろう。
_
④ 世界を見ても、一定の要件を満たした外国人に参政権を付与する国は、欧州諸国や韓国など40あまりに上る。
韓国の地方参政権を持つ日本人は51人、それに対して在日韓国・朝鮮籍の特別永住者は42万人。51人の代わりに420,000人の選挙権を寄こせというのは、バランスが取れていない。
世界の国連加盟191か国のうち、外国人地方参政権を認めているのは、(私の知る限り)たった20数カ国に過ぎず、国の数や人口から考えても、ごく一部に限定されている。
EUでは原則として、EU域内諸国の出身国住民に限って認めており、域外国出身者にまで認めているのは、そのうちのごく一部の国だけである(オランダ、デンマーク、アイルランドなど)。
70年代のドイツでは自治体の外国人人口が12%を超えた場合に『外国人過剰都市宣言』を発して、これ以上流入しないための措置が取られている。
英国では英連邦内諸国の間でだけ、過去の宗主国関係に基づいて選挙権が与えられている。
アメリカでは、外国人代理人(エージェント)登録法があり、米法務長官へ登録の義務。外国人が米国で政治活動をする場合は、どういう活動をして、どういうお金を使って、どういう風な働きかけをしたのか、報告書を出さなければならない。
_
⑤ (反対論に対して)人々の不安をあおり、排外的な空気を助長する主張には首をかしげる。外国籍住民を「害を与えうる存在」とみなして孤立させ、疎外する方が危うい。
憲法で認められた『国民の権利』を守ってほしいと言っているのに、排外主義というレッテルを貼ることは問題だ。
本当の共存を目指し、外国人との対立や紛争を避けるためには、ルールを明確にしておくことが何よりも必要だ。諸外国の事例から学ぶべきことが沢山ある。
人々の不安をあおるというが、外国人問題を抱えているEUではこの10年から20年の間に論理が逆転し、マイノリティの権利要求から『非正規移民の排除』、『外国人犯罪』、『治安の維持』へと変化してきている。
理想主義に基づいて法律にしてしまうと、現実の混乱の方が大きくなり、地域住民が大きな社会的コストを負担しなければならなくなる。
具体的には、諸外国で起こっていることとして、居住区の集中(セグリゲーション)と警察の捜査が及ばない租界地になりやすい事、
治安の悪化、現地住民が近寄らなくなる、行政窓口での外国語対応、学校教育の外国語教育、民族別教室の要求、
2世、3世の非行問題と貧困化と学力低下、現地住民の側で公立学校拒否、優先的就職あっせん要求、差別的取り扱い禁止要求、
また、日本で起こりそうなのは日本悪玉論で歴史教育への要求、反日決議、など。
これらは現実に、外国人問題を抱えている国で起こっており、解決が如何に困難であるかを物語っているのではないか。
現地住民が大きなコストを負担する根拠となるものばかりである。
また、10月8日、熊本県議会で『永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する意見書』が採択されている。
以上、朝日新聞社説に反論を加えたが、如何に理想ばかりで、現実の問題に目をつぶっているのかを、お分かり頂けたかと思う。
口で言うのは簡単だが、それだけではダメで、実行するときの難しさを自ら経験して、初めて責任ある議論となるのではないだろうか。
朝日新聞は、まず範を示せ!
社内の論説委員、執行役員、取締役、社長、会長、一般社員と社屋を、外国人に開放し、優れた共存、共生が実現できてから、改めて外国人参政権の提案をしてもらいたい。
さらに、仮に法案が成立した場合、住民が外国人から被害を受けたときに、すべての責任を民主党と朝日新聞が負うことを義務付ける法律も通すべきだと思うが。
コメント 0