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北朝鮮どころではない、これだけの核被害。その2 [この国と仲良くならなくてはいけないのか]

 

中国というと、4000年の歴史とか、漢方、東洋医学、太極拳、気功、孔子の思想、・・・等々。文化的な香りが高く、上位の国で、我々は学ばなくてはいけないような気になったりもする。おそらく長い歴史を通じて、文化的な恩恵を受けてきた事が、西洋とは違う感覚を我々に与えてくれているものと思われる。

しかし、現在の中国の姿は、これらのものと、あまりにもかけ離れているのではないか。汚染物質の垂れ流しによる環境汚染、利権構造による政府や共産党の腐敗、驚くほどの格差社会、中国人民に対する人権抑圧、少数民族に対する弾圧と民族浄化、等数え上げたらきりがない。

1964年~1996年まで、中国はシルクロードで有名な楼蘭(ロウラン)遺跡の近くのロプノールにおいて、46回もの核実験を実施している。ここはもともとウイグル人の地域で、イスラムを信奉する砂漠の民であり、漢民族とは異なる歴史をもっている。

最近、中国の核実験について驚くべき数字が発表された。

全46回のうち、3回のメガトン級爆発で死亡19万人、負傷者129万人。

核実験は、放射能で汚染された砂が、国家指導者のいる北京に飛んで行かないよう、風向きが中央アジアに向いている時を選んで実施したという。日本で観測されなかったのも、そのためだったそうである。

かつてNHKで『シルクロード』が放映され、反響を呼んだ。それ以来、日本からの観光客が27万人この地を訪れているそうである。核実験が行われていることを知らされずに、もし被爆している人がいるなら、大変なことである。

 

日本ウイグル協会主催『シルクロードにおける中国の核実験災害と日本の役割』平成21年3月18日、SO-TVから引用 

高田 純(放射線防御情報センター主催・札幌医科大学教授)の発言

『北朝鮮の核武装を阻止しようとする6者協議に、中国が議長国になる資格はない。日本がこれまでタブー視して、語らなかった、中国の核問題を実験という形で初めて取り上げるシンポジウムです。

私の調査研究は2000年8月、カザフ・中国国境調査に始まっています。 この調査はカザフスタン保健省の要請で調査してきました。中国の核実験がカザフに与えた影響、健康影響を調べるというテーマです。その時に思ったのは、カザフスタンは、ソ連の実験が1949年から行われていて、カザフスタンの健康被害の大きな原因は、ソ連、ロシアの核実験だったんです。

国境の町は、中国の核実験の影響も受けていると、カザフスタン保健省の科学者は、我々広島から行った科学者に説明して来た。是非調査をして欲しいということだった訳ですが、私はその時、何を感じたかというと、化学報告書を見ながら、この被害の最大の被害は、ウイグルにあるんだ、と。その時から、公にし難いところがあって、秘密裏に、単独で、調査をしていた。

その結果が、昨年7月、ちょうど北京オリンピックが始まる直前に、最初日本から情報発信ということで、日本語の本が出版出来ました。世界で最初の中国核実験災害に対する化学報告書になった。『中国の核実験』

昨年10月に、4年に1度開催される放射線防護学会がアルゼンチンのブエノスアイレスでありました。その前日、ワシントンDCに寄りました。寄った目的は、最大の被害を受けたウイグルの団体、世界ウイグル会議の総裁がワシントンDCに在米ウイグル協会を開いて取り組まれている。その総裁である、ラビヤ・カーディル女史に、この問題で会談することを考えまして、国際会議に先立って、中国の核実験災害の説明をしてまいりました。

非常にはっきりした、彼女の見解もありまして、私の調査研究を喜んでいただきました。その時に約束したのが、最初に日本語で出しましたけれども、これをウイグルの人たち、そして世界の人に知ってもらうということで、英語とウイグル語に翻訳することを、彼女に約束して帰ってきて、今週月曜日、日本人、アメリカ人、ウイグル人共同の翻訳チームを立ち上げまして、翻訳版の出版になった訳です。

この翻訳版にラビヤ・カーディル女史から序文が送られました。その中に、中国政府による長年の実験災害の隠ぺいの事実と、核被災と核汚染した環境を放置しているということを、強く、序文の中で非難しております。

中国の核実験災害調査の背景ですが、私は広島大学の原爆放射線医科学研究所に博士課程の時にいまして、広島の調査が私の原点になっております。ソ連が崩壊してからソ連の実験場であった、カザフスタンのセミパラティンスクの実験影響、健康影響ですね、この調査を1995年から行っています。

あと、チベットにも関係するんですが、核兵器に必要なプルトニウムの製造工場の公害ですね、核廃棄物を川に投げ捨てるという異常なひどい事があった訳ですが、その川沿いに暮らしている人たちの調査を行っているわけです。核爆発の産業利用なんかも、考えられない事があるわけですが、ウイグルでも行われていると、想像するわけです。

こういった中で、最後に、中国の実験災害の調査になった。こういった世界の調査をする中ですぐ分かったことは、日本は唯一の被爆国ではない、ということです。 

ソ連と中国の比較をして明確に分かるとは、どちらも居住区での実験だったんですが、ソ連は爆発威力を抑えた実験をしていたことと、実験場の管理をきっちりしていたこと。私は当初、ソ連は危ない事しているな、と思ったんですが、中国の実験と比較することで明確に分かったんですが、ソ連は四国くらいの面積のところに鉄線を張って、人が入れないようにして実験を行っていた。それでも危険なので、最大で0.4メガトン。

一方中国は、最大で4メガトン。ソ連の10倍の威力、長崎の核の200倍の威力で、ウイグルの人たちの証言を聞きますと、実験場の管理もなく、柵もなく、人が出入りをする中で、爆発をさせていた、と。日本人の研究者は、安全なくして実験なし、というが、とても実験とは言えないものだった、といえるのではないでしょうか。

地表で核爆発すると、どんなことになるか。広島、長崎は空中だったんですが、地表で爆発すると砂が舞い上がって行く、砂と核物質が混合していきます、これが核の砂を形成して、風に吹き飛ばされて、風下に流れて、風下に降ってくる、核の砂が降ってくる。それによって遠方で核放射線影響、健康影響を受けるわけですが、これはすでに、影響の度合いを計算可能になっています。

200年に計算手法を私が開発しています。これまでのカザフスタンの調査の経験と、計算の根本理論は米国の方式を用いています。これによってこれまでセミパラティンスクの実験、北朝鮮の実験などの日本への影響ですね、これを計算しています。今回同じ手法で、中国の核実験災害を計算した訳です。

一番危険な実験が行われた、シルクロードの楼蘭遺跡を皆さんご存じだと思うんですが、あの楼蘭遺跡の近くであるということ、こういうことで、シルクロードに大量の核の砂が降った。全46回、20メガトンの核爆発をしているんですが、私の計算では、その中で主な、3つのメガトン級の危険な核爆発について計算しました。

その結果、19万人以上が急性死亡。ということは、消滅した村が一杯あったということです。あと、死ななかったものの、甚大な健康被害を受けた、急性症を起こした人たち129万人という、数字が出て来るわけです。これは私の科学推定ですが、ラビヤ・カーディルさんから伺った、中国共産党の機密情報として75万人死亡説というのがある、と。

この75万人という数字から、私の推定と大体一致するわけです。全然医療的なケアを受けなかったら、129万人の中でもかなりの人が死んだかも知れないわけです。計算では3発の計算しかしていませんが、その他も数を含めると相当な数になるだろうというのは、皆さんも想像するんではないでしょうか。75万人死亡説は、かなりの信ぴょう性があるのかな、といま思っています。

危険な核放射線影響を受けた面積ですが、東京都の136倍以上である。とてつもない、広域な場所がですね、核の被害を受けているということです。これはその時に何かがあったという事と、核ハザードが現在も継続して続いているという、問題もあるわけです。

地下実験も行われた。ただし地下といっても、本当に地下かという証明はなく、ウイグルの人たちの証言を聞きますと、90年代でも火球が地表に飛び出すような危険な爆発をしていると、96年までそういうことをやっているわけですが、あの時に日本の反核団体は、フランスの実験を非難したり、ノーベル賞文学者大江健三郎がフランスの実験を非難しましたが、中国の蛮行に関しては黙っていた、と。そういうことは許されるのかと、思うわけです。

地下と言っても最大で1メガトンの核爆発をしているということ、で、現在も地下は汚染していると。地下が汚染すると何が起こるかというと、地下水汚染になっていて、川に浸み出してきて、周辺の人たちの健康に影響を与えると。これは現在、21世紀も続いているということなんです。私の推定ですが、3発のメガトン級の爆発で、死産、奇形、胎児影響ですね、これが3万5千件以上。基本となった人口データベースはWHOの値を使っています。

白血病推定3700人以上。甲状腺がん1万3千人以上。この計算はかなりの確度を持っています。放射線防護学の理論はかなりの精度を持っています。基本の一つは広島、長崎の長年の研究、あとその他、私が使っているデータは、ビキニ水爆実験のこと、があります。

ロンドンから来て頂いた、アニワル医師らのデータで、実験直後から、発がん率が増加していくという結果です、これは実験場に近いウイグル地区とその他の中国で、どちらも増加していく、これは即ち、核の砂が広範囲に降って、ウイグルの外にも広範囲に飛んでいる、チベットにも飛んでいる、ということです。それを証明したデータだと思います。

あと、地下実験と言いながらも、地表に飛び出している、80年代から90年代ですね、最近でも白血病が発生しているという話を聞きますので、地下というのではなくて、本当は地下ではない、と。非常にとんでもない核爆発をさせた国だ、と。

中国の核実験災害の人道上の問題。これは実験ではない、犯罪行為である。人命を軽視ではなくて、人命を無視した核の蛮行といえるのではないでしょうか。

ウイグル民族が暮らす居住区でメガトン級の地上核爆発を強行したということ。ウイグルの人たちの証言から核実験災害の事実を、中国政府は、現地の人たちのみならず、ずっと事実を隠している、隠蔽しているということ。その結果、死亡者、及び健康被害者への補償を一切していない。これが人道上の問題。

米ソでは、一定程度、こういった事に配慮して、被害者に対して補償とか、治療とか、しているわけです。相当マーシャルでも行っている。一方中国は一切していないと聞きますと、やはり、中国共産党政府の責任だと、言えると思います。まず、核実験災害の科学情報を、中国政府は開示すべきである。被害者への補償、環境対策、これは現中国政府に全責任がある、と。

この問題は、被災者として、まず、シルクロードの民族、ウイグル、チベット、モンゴル、カザフスタンなど、民族への責任が、現中国政府にある。

もう一つ、中国政府はここを観光地化している、とんでもないわけですが、その観光地を訪れる日本人も含めて、現地を訪れる外国人に対する問題があるわけです。70年代から日本人はシルクロードの土地を観光しているわけですが、96年まで核実験をしながら外国人がこの地を観光しているのは理解できないわけですね。これが国際問題でなくて何であろうか。

96年に止まったとはいえ、現在ですね、核実験場には高レベルで放射性物質が残留している、放射線衛生上の問題が21世紀の今もある。その地域及び周辺の地下水による汚染拡大が危惧される。

中国政府は、ウイグルのあの地域を世界遺産に申請している、と聞くが、核ハザードを放置した形で世界遺産に登録されてはならないと思っています。この地のシルクロード世界遺産申請に問題あり。

日本はこの問題について人道的、科学的に取り組むことが望まれるだろう。唯一の被爆国ではありませんが、最初に核被災を受けて、この問題に心を痛めた国民として、中央アジアの日本にもゆかりのあるこの地域を支援していく、科学的に支援していくことが大事ではないでしょうか。

あの地域一帯に科学的な支援を展開していこう、ということで『日本シルクロード科学俱楽部』を立ち上げていきます。』

・・・・・引用終わり

 

この問題は、対岸の火事ではない、日本の問題である。これまでの反核平和団体は、中国の、やってはいけない核の蛮行を黙認して、時にはこれを擁護してきたが、中国の核武装で脅威を感じるのは日本である、という高田氏の発言に賛成である。

日本のマスメディアは何故、中国の核実験の被災状況を一切報道しないのか。シルクロードへ観光に行って、被爆している人がいるかも知れないのに、我々の知る権利を侵害していることは明白である。NHKの責任は極めて重大である。 かつてアメリカやフランスの核実験を、声高に非難していた彼らが、中国のことになると、口を噤んで黙ってしまう。これでは報道機関を語る資格などないのである。

世界ウイグル会議はこちら

 

 

 

 

 


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