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歩道上の事故は過失相殺しない新基準 [事故防止]

※このブログでは法令や判例、賠償事案を扱わないつもりで続けてきたが、近年の自転車関連事故の急増という状況を考えて、掲載することにする。

交通弱者として長年扱われてきた自転車だが、最近の事故多発の状況を受けて2007年に法令が改正、司法判決にも変化が出てきている。

自転車を運転する者は、自身に『安全に注意する義務』があることを自覚してほしい。

毎日新聞ネット記事から引用

毎日JP8月21日から

☆高額賠償判決

〇東京高裁07年3月 567万円 

信号のない交差点で50代男性の自転車が60歳女性と衝突。女性は左大腿骨骨折。

〇東京地裁07年4月 5,438万円

信号無視した37歳男性の自転車が横断歩道を歩行中の55歳女性と衝突。女性死亡。

〇大阪地裁07年7月 3,000万円

歩道上で無灯火の15歳男性の自転車が歩行中の62歳男性と正面衝突。男性死亡。

〇神戸地裁09年3月 1,239万円

自転車が信号のない交差点を歩いて横断中の54歳女性と衝突。女性は顔の骨や歯を折る。

☆『歩道上の事故は原則、歩行者に過失はない』

本年3月、東京、横浜、名古屋、大阪の地裁裁判官は上記の新基準を提示した。

2007年に道交法が改正され、自転車の責任を明確化したことを受けたものと見られる。

標識などで許可された場合を除いて、自転車は歩道を通行できない。また歩道を通行する場合は歩行者に対する安全注意義務が課されている。

自転車を運転する者が、子どもや高齢者であっても責任は変わらないという。

今後は高額賠償事案が続出することが考えられる。

☆自転車関連事故は全体の21.2%

2009年の自転車関連事故は15万6373件で交通事故全体の21.2%を占める。

自転車の対歩行者事故は、1999年に801件だったのが2009年には2,934件と3.7倍、自転車同士の事故も2009年は3909件で10年前の4.4倍となっている。

自転車が第一当事者となる事故のうち、未成年者は39.6%。

賠償責任についても、13歳前後から責任を負うという訴訟の判断が多いという。

☆賠償できるのだろうか

自転車には、自動車に義務付けられた自賠責保険がないが、万が一事故を起こして相手に怪我させてしまった時、どうするのだろうか。

損保各社は、自転車ユーザーの保険への関心が極端に低いとして、「自転車総合保険」の販売を中止したという。

毎日新聞ネット記事

交通安全協会が2005年に実施したアンケートでは、「保険に加入」16.5%に対し「保険自体を知らない」が54.9%だった。「自転車に乗るなら保険に加入する」という認識は広まっていないそうだ。

高額賠償判決が増える一方で、保険未加入のため被害者に賠償が及ばないケースが生じており、今後は深刻な問題となりそうだ。

先日、地元の警察に電話で問い合わせたところ、現在自転車に対する指導は、『警察官が見かけた時に口頭で注意、指導するようにしている。信号無視など悪質なものは切符を切るが、それ以外は指導するようにしている』ということだ。

今は自転車に対する法律を、周知する期間ということなのだろう。いずれ取り締まりの段階になるだろう。

☆交通局長通達「自転車の交通秩序整序化に向けた総合対策の推進について」の発出 平成19年7月12日(要点を抜粋した=筆者)

詳しくはこちらへ

1)自転車の通行環境整備の推進

車道上の自転車通行が危険と考えられる箇所、歩道上の自転車と歩行者の輻輳があると考えられる箇所について、危険性の高い箇所を優先して順次自転車の通行環境整備を推進すること。

(2)自転車利用者に対するルールの周知徹底

「自転車は車道が原則、歩道が例外」、「車道は左側通行」、「歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行」、「飲酒運転・二人乗り・並進の禁止」、「夜間はライトを点灯」、「交差点での信号遵守と一時停止・安全確認」といった基本的なルールの周知徹底に努めること。

(3)自転車安全教育の推進

小・中・高校生に対する自転車安全教育を推進するとともに、対象を高齢者、主婦、社会人、大学生等にも拡大するよう努めること。

(4)自転車利用者の交通違反に対する指導取締りの強化

自転車利用者の交通違反に対する指導警告を強化するとともに、違反行為により通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせたり、指導警告に従わず違反行為を繰り返したりするなどの悪質・危険な交通違反に対しては、交通切符を適用した検挙措置を講ずるなど厳正に対処すること。

(5)交通ボランティア等と連携した街頭活動の強化

地域交通安全活動推進委員等に対する教養を徹底するとともに、自治体が委嘱するボランティア等にも積極的な取り組みを求めることにより、地域住民とともに啓発活動を行う。指導啓発活動の積極的な実施に努めること。

平成21年指導警告2,165,759件、検挙1,326件

☆地域での取り組みが欠かせない

筆者は最近、自転車の運転マナーの悪さが気になって「セーフティウォッチャー」なるものに加入させていただいた。市の教育委員会の腕章をつけて、小中学生の登下校時の安全を見守るボランティアだ。

だいすけ君(コーギー)との散歩の時に、すれ違う自転車の主に声をかけているが、夜間でも無灯火で走る人は半分位はいる。中には猛スピードで歩道を駆け抜けていく自転車も。

携帯でメールしながら走る人、二人乗りの人、傘を差しながらの人、車がいないと信号無視の人、などなど。

これでは子どもがルールを守る訳ないだろうと思ったら、やっぱりいた。中学生二人。

さっそく制止して、ライトを付けるよう促す。どうしてライトを付けるか分かる?と聞くと、「前が見えないから」と返ってきた。

自分のためでもあるが、前照灯は周りの歩行者に自分の自転車が近づいている事を知らせるため、でもある。

ひとりの力では、数が多くて限界がある。

より多くの人が、地域の安全活動に参加するようになれば、自転車に乗る人の意識も変わってくると思うのだが。

※ご意見、ご感想などありましたらコメント欄にてお知らせください。


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